200912.11 着工
朝6時。着工式が行われました。
日本の地鎮祭のように神主さんが祝詞をあげるというようなことはせず、各人が線香を敷地の隅と祭壇に立て、南向きに設えられた祭壇に手を合わせる、といったものです。
採掘作業は大方終了。
土はかなりの粘土質で近くによると汚水の臭いもします。これは以前より、北側の住居から汚水が流れてきており、その汚水が敷地の土壌に蓄積しているためと考えられます。
この住居ではアヒルを売る仕事をしているのか、いつもアヒルの「商品化」が行われ、辺りには白い羽が散らばっています。その作業場の羽や血を洗い流した水が敷地に流れ込んできており、衛生面でかなり問題があるため、今後なんらかの対応を取ることになります。
少なくとも工事現場に限っては確実に日本の方が安全への意識が高いと思います。
ベトナムの現場作業員は安全靴でなくサンダルを履き、ヘルメットの代わりに普通の帽子を被ります。ただ、今回工事を担当する施工会社はこちらの安全基準を汲もうとしてくれているのか、新品のヘルメットを用意してくれていました。このように技術面だけでなく様々な意識の交流もなされれば、日越が共同して進めるこの現場の意義がより深いものになるのではないかと期待しています。
200912.12 杭・フーチング・基礎
左からスーパーバイザーのDang氏と施工会社社長のHuan氏。
朝7時。打合せ。
朝7時前に現場到着。採掘範囲の計測などをしながら作業が始まるのを待つも、1時間経っても誰も来ず。
ベトナム時間なのかと思いつつも、工事をお願いしている施工会社の副社長Huan氏の携帯に連絡をすると「今日は竹の搬入が4時頃になるからそれまで工事は行わない」とのこと。じゃあ今日は帰るか・・・と思っていたところ「ちょっと待ってろ」とのこと。
10分後現場に自転車で現れたHuan氏は、「見せたいものがある」とのことで、丁度よく現場を訪れていたスーパーバイザーのDang氏と3人で隣のレストランへ。施工会社を決めるため、数社に見積もりの提出をお願いした時は、ほとんどの会社が期限を守らなかったと聞いていたので、何事も気長に待つ覚悟でいたのですが・・・
竹を使った杭
Huan氏は特にこちらが要求したわけでもないCGを短期間のうちに作成し、柱の詳細などについて説明してくれました。
打ち合わせを終え、16時半に搬入が行われるとのことで、一旦家に帰り、16時にまた来てみるとすでに竹・足場板・丸太が運び込まれ、皆帰ってしまっていました。ベトナム時間というのは時間に遅れることだと思っていたのですが、早くなることもあるようです。
隣の建築現場。この建物の左隣にU-cafeが建つ。 ベトナムのほとんどの建築現場において、丸太と板による足場が組まれています。日本でよく見るアルミ製の足場板はまだ見かけていません。中国では竹で足場を組むと聞いたことがあります。これもお国柄と言えるのでしょうか。
竹は何に使うかというと基礎の杭に使います。基礎杭に竹を使うと初めて聞いた時はとても驚きました。
色々と調べてみると、大林組が「ナックル・パイルおよびナックル・ウォール工法」という工法を開発しており、これは竹のような節をつけた丸杭や壁杭を基礎杭として使うというもので、その節によって杭に加わる支持力が大きくなり、結果、低コスト、工期短縮、環境配慮につながる。らしいです。つまり杭の材料としては理に適っているようです。ちなみに東京スカイツリーにこの「ナックル~~~工法」が採用されています。
竹は長さが約2200~2500。径が細いもので約50~60、太いもので約90~100(単位:mm)全ての竹の両端または一方の端が斜めに切り落とされています。今日のHuan氏との打ち合わせの中で溜まっている水をどうやって汲み取るのか、と質問したところ
「水が溜まったまま杭を打ち込む」
との返事が返ってきて驚きました。明日から竹杭の打ち込み作業(3~4日かかる)が始まります。
ここに直接竹の杭を打ち込む。
200912.13 杭打ち
今日から竹杭の打ち込み作業が始まります。
今日は朝から雨です。ベトナムは現在雨季なのですが、最近は晴れの日が続いており、久々の雨です。
カッパが大活躍するのですが、こちらのカッパはビニール袋のような素材でできており、すぐ破れてしまいます。日本から持ってきたセパレート型のカッパを着ていると珍しがられ、たまに「くれ」と言われたり、物欲しそうな目で見つめられたりします。作業員が準備を進めていると、施工会社副社長のHuan氏が何やら細いチューブを持って来ました。
採掘作業は大方終了。
チューブに水を通してから、一方を裏手の家の壁にあて、もう一方を川の方に持って行ったり、戻って来たりしています。チューブ等に水を通すとその両端の水位が同じになることを利用して、高さを測っているのでした。
裏手の家の壁には台風で川が氾濫した時の跡が残っており、それを使って台風時のGLからの水位を測定していたのです。(GLの基準は川沿いの遊歩道上端)そして、杭打ち作業開始。準備を終えた作業員が次々とサンダルを脱ぎ、溜まった水の中に入っていきます。足場のための丸太を組んでいくのですが、この時使うのが自転車のチューブ。
3方向からの丸太を自転車のチューブでまとめ、それを竹の木端で締め上げ、その竹を丸太に針金で固定。丸太に2本の竹を、これまた自転車のチューブで固定したものです。現場の道具の柄はほとんどが竹です。鉈もシャベルも鍬も斧も、現場で丁度良い長さの竹の先を削り、差し込んで使います。作業員は全部で8名。ひとつのハンマーを打ち下ろすのに3人掛かりで、2ヶ所の杭打ちに6名。残りの2名が斧で竹を加工し、杭を作ります。竹杭の長さはおよそ1200mm。1つの杭の打ち込みにかかる時間が1分~1分半。Huan氏いわく、この杭打ち作業だけで3~4日かかるとのこと。
200912.14 杭打ち2日目
今日も朝から雨です。
特に夜から朝にかけて強く降っていたため、現場の水位が100~150mm程上昇していました。作業員の朝一番の作業はポンプを準備し、水を汲み上げることです。
昨日の作業員の人数は8人だったのですが、今日は3人増員の11人で作業開始です。日本のように機械などをあまり使わないので、どこの現場でも作業人数はかなり多いです。いわゆる人海戦術というやつです。作業員が11人なので打ち込み作業組(3人1組)が3組、竹杭製作組が2人、で作業が進められます。
今日は水が貯まったまま杭打ちを行う理由が判りました。
スーパーバイザーのDang氏は寸法確認のためにスラックスにYシャツ姿、足元は皮靴のまま竹杭の上に降りていきます。ドロドロの現場ですが、現場監督や施工会社の関係者は皆革靴でやってきます。途中、作業員の一人が現場監督の指示でザルいっぱいの小石を持ってきて、竹杭の上に置き始めました。最初は割栗石を詰め込むのかと思いましたが、これは杭の数を数えるための小石で、数えた杭の上に小石を置いて、数え間違いを防いでいました。
杭の数は25本/㎡で打つ予定なのですが、この列は少しだけ数が多いとのこと。
ただ全く問題ないので抜いたりせずに、次の列の杭打ち作業に取りかかります。
幅約1800mmの列が3列出来ました。列の間は約300~400mm間隔が空けてあります。基礎には独立フーチングが梁間に4つ桁行に6つの計24個並びます。なぜ桁行方向には間隔を空けないのかと尋ねると「効率が悪いから」との答えが返ってきました。
竹は乾燥するともろくなってしまうため、水分を吸収させるためにも水が溜まっていた方が良いのだということでした。ただ、あまりに水位が高いと打ち込み作業に支障が出るため、朝などにポンプで余分な水を汲み取るようです。また、竹杭を打つ時は杭の頭が50mm程水面から出るようにしており、それを見ていると水面がレベラーの役割も果たしているのだな、と感心しました。昔の日本もそうだったように、ベトナムの現場では高さを測る際に水が大活躍するようです。
200912.15 杭打ち3日目
雨が降らなくても朝の水位は杭の頭が隠れる程度に上がってしまいます。
今日は朝から晴れています。杭打ちに使うハンマーの底は丸太の底に太めの針金のようなものが釘で螺旋状に打ちつけてあります。
昼休みに入り作業員の人たちがお昼を食べに現場を去った後、現場を見て回っていると北側の切り出し部分にひびが入っているのを見つけました。砂がパラパラ落ち続けているので、もしやと思って見ていると・・・どん。と一気に崩れてしまいました。
現場監督の指示で、崩れた砂をどける作業が始まりました。8人がこの作業に取りかかり、残る3人は杭打ち作業を再開します。杭を打つ人と竹杭を作る人の人数の分け方もそうですが、人数の振り分け方はとても適切です。しっかりと効率が考えられており、こっちの現場監督もしっかりしてるのだなあと感心しました。
土の処理が終わると、足場をかけるための板が設置されました。
足場の組み方にしても、この板の設置にしても、作業員は非常に柔軟に対応しています。材料自体が規格品でないことも大きいと思いますが、自分たちがやりやすいように、自分たちでどんどん工夫して作業を行います。材料も足らなくなると組んであった丸太を引っこ抜いて持って行ってしまいます。
使わなくなった部分の足場はふらふらになって今にも倒れそうです。安全面では問題あるかもしれませんが、細かいことを気にしないことが考え方を柔軟にさせているという印象を受けました。
普段は17時前に作業を終えて帰る作業員たちが、今日は17時を過ぎても作業を続けています。しっかりと杭打ちを終わらせてから、帰って行きました。
ベトナム人は休み時間をたくさんとって、時間に遅れて、仕事がなかなか進まない。そんなことを日本で聞いていたのですが、少なくともこの現場の人たちに限っては、作業は集中して行い、手抜きをしてるような様子もありません。もちろん休憩はたくさん取るのですが(昼休みプラス約30分に一回ペースで休憩)、気候条件や作業内容を考えれば仕方ないのかもしれません。施工会社の副社長が3~4日かかると言っていた杭打ち作業が3日で終わったので、今のところは良いペース。
出だしは順調のようです。
200912.18 鉄筋はオーストラリア製
またもや足場が組まれていました。
ただ、今回の足場は自転車のチューブでなく、釘で固定されており、前のそれと比べると頑丈な造りになっています。どうやら次の段階の工事でも足場を使用するようです。今日も作業員は足場ができるとさっさと帰ってしまったらしく、現場では鉄筋の搬入のみが行われていました。鉄筋は全て丸めてあり、コロコロ転がしながら運んで来ます。といっても鉄なのでかなり重いです。ひと束100kg近くあると思います。
ここ数日は現場以外の場所を多く訪れており、U-cafeとは全く別のつながりの人々とお会いする機会が多いため、様々な話が聞けて刺激的な毎日を過ごすことが出来ています。ただやはり気になる現場の進行状況。施工会社も雨季のことは計算に入れて工期を立てているとは思いますが、ここ数日の現場の成果は鉄筋、砂、砂利の搬入と足場を外してまた付けただけ・・・気長に気長に、と思いつつも歯がゆい日々が続きます。
200912.22 ミーティング
開口部建具の打合せ
現場で打ち合わせをする吉田氏(左)とHuan氏 夕方4時、Huan氏が我々の家に到着しました。
建具については吉田氏をはじめとする日本の設計チームが可動式のルーバーの建具等、具体的な提案を行っているのですが、Huan氏は台風時の雨の吹き込みを危惧しており、建具については前々から調整が続いています。ただ、お互いの主張をぶつけ合うのではなく、Huan氏はできるだけこちらの提案を生かした解決策を模索してくれます。吉田氏はHuan氏の立場を尊重しており、ホイアンの環境に詳しいことや技術者としてのレベルが非常に高いこと等からHuan氏に大きな信頼を置いているようです。
打ち合わせの際には非常に多くのツールが使われます。言語は英語、設計図面に色鉛筆で修正を加え、白い紙に断面や建具の詳細を描き、さらにCGによる説明は分かりやすく非常に役立ちます。この日の打ち合わせでは開口部、建具についてはほぼ調整が済んだようでしたが、設備について色々と疑問が残ったようで、日本の設計チームの間で確認を行い、後日、吉田氏の滞在中にもう一度打ち合わせの機会を設けることになりました。
現場は今日も水抜き作業
誰もいない現場で黙々と作業を行っています 昨日汲み上げて大分低くなっていた水位もまた上がってしまっています。水の汲み上げは小型のポンプを用いて行われるのですが、汲み上げている間は見張りの青年が一人ずっと現場にいます。いつもは川沿いの柵に腰かけているのですが、昼過ぎに現場を訪れると青年の姿がありません。あたりを探してみると仮設小屋の中に人影が。どうやら仕事を与えられたらしく、巻き癖のついた鉄筋をまっすぐにする作業を一人黙々と行っていました。
200912.23 水糸を張る作業。
朝の現場
現場にはコンクリートの材料や混ぜるための機械が運び込まれ、鉄筋は現場で次々に加工されていきます。フーチングの位置を決めるための水糸を張る作業も進んでおり、着々と基礎のコンクリート工事を行うための準備が整っていきます。
鉄筋は切断、変形、結束、全て現場で行われます。鉄筋をカッターで切断する際はかなりの量の火花が飛びますが、作業は素手で行われ、もちろんゴーグル等は掛けていません。
時間をかけて慎重に水糸が張られていきます。
バケツ、イス、レンガを使って台を作り、垂直定規を置いているところを見ると、本当に正確なのかどうか不安に思ってしまいますが、それでも真面目にきちんと作業を行おうとする気持ちはちゃんと伝わってきます。
200912.24 基礎のコンクリート工事
フーチング
腕や裸足の足にばんばん火の粉がかかっています。 朝から雲ひとつない快晴です。現場では昨日に引き続き、基礎のコンクリート工事に向けた準備が進められています。
彼らは配筋工事の専門というわけではなく、建築工事のあらゆる作業を行います。そのため、ロボットの如きスピードで配筋をこなす日本の配筋工と比べると、かなり作業に時間が掛かります。これを見た設計者の吉田氏は日本の配筋用の道具(結束線ハッカー)を今度何本か持ってくるとおっしゃっていました。
10時頃にまた来てみると・・・
いくつかフーチングが出来上がっていました。このフーチングの裾広がりの形は型枠を使って成形するものとばかり思っていたのですが実際はコテを使って成形していました。ホイアンで一般的に使われているのはPCB30等で、PCB40は特に質の高いセメントであり、わざわざ取り寄せて使っているらしいです。
コンクリートを流し込む前の状態。 基礎柱の配筋をあらかじめフーチングの配筋に結合させておきます。まず砂利を敷き詰め、そこに薄くコンクリートを敷き、その上に鉄筋と型枠を置き、そこにフーチングのコンクリートを流し込み工事が停滞していたこともあり、形が出来上がっていくのがうれしく、いつまで見ていても飽きません。
ます。
鉄筋の試験を行うとのことで、Huan氏に連れられてホイアンの郊外へ。
この会社は建築材料の試験を行う会社で、U-cafe建設にあたってこの会社に建築の確認等を行うスーパーバイザーを委託しています。
今回行ったのは6mm、8mm、10mm、12mm、14mm、16mmの計6種類の鉄筋の引張力試験です。
持ち込んだサンプルの長さは600mm、1000kN自動引張試験機(中国製)を用いて実験が行われます。
それぞれの長さが一本ずつの計6本だけだったこともあり、30分程で試験は終了しました。設計者の吉田氏も鉄筋のサンプルを日本に持ち帰って試験しようとしていたので、日本同様の試験が行われていることにとても驚かれていました。ホイアンにはこの会社以外にもう一カ所、材料試験を行える場所があるそうです。
200912.25 機械で混ぜたコンクリートをスコップで一輪車に移す。
配筋作業は隣の空き地や遊歩道を使って行われます。
この現場は周りにスペースがあるのでまだ良いのですが、住宅地の中にある現場などでは道路で作業が行われます。使えるある場所があれば遠慮せず使う。日本だと問題になることも、こちらでは誰も気にしないみたいです。Huan氏の3D然り材料試験然りバイブレーター然り、自分が想像してた以上の技術や設備を目の当たりにし、少しベトナムの建築現場をなめてたかなと最近思い始めています。もちろん想像よりひどかったこともありますが、この現場ではHuan氏がこちら側が求める質のレベルを読み取って対応してくれています。
組まれた足場の上を一輪車を押してゆき、型枠にコンクリートを流し込む
作業員の一人が図面でいう基準線上に張られた水糸から、フーチングの型枠及び鉄筋を置く位置を決める作業を行っていました。現場監督の指示を受けながら慎重に作業を進めるのですが、使っているのはアルミの棒とレンガのついたタコ糸のようなもの。現場素人の僕にとっては何をしているのかがすぐに理解できて有り難いのですが、きっと近いうちにレーザー墨出し器のようなものが使われ始めるのでしょう。
ここ数日は雨も降らず、工事も順調に行われています。このペースで進めば24個全てのフーチングが年内(太陽暦の)に出来上がると思われます。
200912.26 小型ポンプ
ポンプによって汲み上げ作業を行います。
小型のポンプからはパイプとホースが出ており、パイプを溜まっている水の中に入れ、ポンプで汲みあげた水をホースで川や道路脇の排水溝に流します。ポンプの構造上、電源を入れる前にパイプとポンプの中を水で満たす必要があるのですが、ポンプを準備する時、作業員はパイプの先を水の中に入れ上下に動かします。するとコポコポ音がしたかと思うとパイプの上から水が溢れ出してくるのです。先端に逆流防止の弁がついており、それによってパイプに水は入ってくるが出てはいかない、という単純な仕掛けでした。
昨日コンクリートを打ったフーチングの型枠を外す作業を行う作業員
コンクリートを打って一日経ったら型枠は外され、その後乾燥しないよう水をかけながら約7日間養生させます。北側に作業場所が移っていくため、足場も北側に広がるように作られていきます。杭打ち作業の際使用していた足場を解体し、しっかりした造りの足場をかけ直した理由が分かりました。毎日コンクリートを積んだ一輪車が何往復もするため、自転車チューブを使った足場では耐えられないのでしょう。
真新しい木箱
Huan氏に仮小屋に来いと言われ行ってみると、真新しい木箱のようなものが置いてありました。この木箱はコンクリートの圧縮試験を行うためのテストピースを作るための型枠とのことでした。明日、この型枠にコンクリートを流し込み、テストピースを作製するようです。
トラックがコンクリートに使う砂を持って来ました。すでに現場に搬入されていた砂と同じホイアンの川砂なのですが、左が先に搬入された砂。右の後から搬入された砂に比べて粒子が細かい。Huan氏曰く、ホイアンの川砂は非常に質が良く近隣の国へ輸出している程、とのことです。
200912.27 テストピース作り
朝から快晴です。
今日もフーチングの成形作業が続きます。昨日の作業はフーチングの土台を作る作業のみで終わってしまったため、一昨日と変わらず、南側から梁間方向2列(フーチング計8個)が完成しており、残りは4列(フーチング計16個)です。この日の作業スピードはとても早く、今まで一日一列だったのが2列作ってしまうようでした。毎日1~2時間おきに作業員が水をかけて回ります。
試験体
今日はコンクリートの圧縮強度試験のためのテストピース作りが行われました。試験体を作る型枠には、一度フーチングの型枠に流し込んであったコンクリートをわざわざスコップですくって流し込んでいきます。機械で混ぜたコンクリートをそのまま使わないのは、少しでも実験の整合性を高めるためなのでしょうか。仮小屋の中において約7日間養生させ、その後試験を行います。
200912.28 残すところあと2列
フーチングの作り方。
まずは砂利を敷き詰め、その上にセメントと砂を混ぜたものを均してゆきます。砂利を敷いた時点で水がまだ残っているため、セメントと砂を混ぜたものがその水分を吸収し結果モルタルになります。フーチングの土台ができると、次は配筋と型枠の設置です。その際必要なのがバケツに入った小石。作業員が小石の山から特に大きい小石を選んで運んで来ます。この小石の使い道は配筋の下に置き、砂利とモルタルの土台から少し浮くようにします。その後は機械で混ぜたコンクリートをひたすら運び、バイブレーターを使い型枠に充填していきます。
こてで形を整えると最後に砂とセメントを混ぜたものをかけ均してゆきます。これも土台同様コンクリートの水分を吸いモルタルとなり、それによって表面を仕上げていきます。
柱の鉄筋。
ベトナムの建築現場で使われる道具は、その多くが自分たちで一から作る又は手を加えたものです。あばら筋の加工を行う際に使われる道具は角材に二本の釘が打たれただけのものです。さくさく作業が進んでゆくのですが、途中で長さを測ることはありません。どうやって同じように加工しているのか不思議に思い、よくよく見てみると角材に傷をつけて線が引いてありました。これに合わせて鉄筋を折り曲げてゆけば、同じ規格のあばら筋が出来上がるという訳です。シンプルながら非常に良く出来ています。
200912.29 一日のだいたいのスケジュール
今まで通りの手順で作業が進められていきます。
一日のだいたいのスケジュールは
7時~12時 : 作業の準備、水の汲み上げ、砂利及びセメントの敷き詰め作業
13時30分~16時: 配筋及び型枠の設置、コンクリート流し込み作業、形成及び仕上げ作業
16時~16時30分: 片付け
ベトナムでは現場でも会社でもほとんどの場所が11時30分~14時までが昼休みらしいのですが、この現場の作業員はそれに比べるとかなり休憩時間が短いように思います。作業が一日一列終わるように組まれたスケジュールがあるのかも知れませんが、こちらの人は昼休みに昼寝をする習慣があるので、ちゃんと昼寝をできているか心配です。
200912.30 今日から基礎柱を作り始めます
昨日までにフーチングの形成作業が全て終了
まずはフーチングの型枠を外す人、基礎柱の型枠を作る人、基礎柱を置く位置を決め印をつけていく人、に分かれて作業が進められます。板切れを張り合わせ、それに白いシートを貼り付け、型枠を作ってゆく。コンベックスや水糸を使って型枠の位置を決める作業員。
型枠の設置が終わるとコンクリートの流し込み作業が始まります。まずは型枠の内側にセメントを水で溶いたものをかけ、それからバイブレーターをかけながらコンクリートを流し込んでゆきます。
フーチングに比べ型枠が小さいため、一輪車で豪快に流し込むことが出来ず、バケツで一杯ずつ流し込みます。
途中、ある型枠にコンクリートを流し込みながらバイブレーターをかけていると、釘打ちが甘かったのか型枠が決壊してしまいました。すると皆で一斉に僕の顔色を窺ってきます。僕が決壊の状況を写真に撮り、メモを取っていると更に心配そうな顔で僕の方を見てきます。その時僕自身は別に大したことではないと思っていたのですが、皆僕が何か文句を言ってくると思ったみたいです。現場監督のDuc氏に「No problem」だと伝えてもらうと皆一斉に笑顔になり「なんだよー怒ってないじゃん」というようなこと(多分)を言い合って次の作業に移っていきました。
あぁ、まだまだ馴染めてないなあと思った瞬間でした。
200912.31 今日は残りの基礎柱の形成作業に移ります。
まずは昨日コンクリートを流し込んだ基礎柱の型枠を外してゆきます。
型枠を外し終えると南側の基礎柱の型枠を設置してゆきます。結構な重さがあるため二人掛かりで行います。
仮小屋では
コンクリートのテストピースを取り出しているところでした。27日に打ったものをずっと養生しているのかと思っていたら、29日に既に一回取り出していたらしく、今日取り出したテストピースは29日に打ったものでした。取り出したテストピース。日付が修正液で書いてある。
15時過ぎ。今日コンクリート打ちを行った基礎柱の型枠がまだ外されていないのですが、砂で基礎を埋め立てる作業が始まりました。ひたすらトラックから降ろされた砂を一輪車で運ぶ女性作業員。なんとか2009年度中に採掘、杭打ち、フーチング及び基礎柱(まだ型枠はついていますが)の形成作業を終えることができました。