日本では「コミュニティカフェ」なる言葉が現在着目されている。
人間はやはり自然や環境とは切り離されては生存できないのだ、という認識は気候変動と温暖化という問題とともにますます大きくなっている。
良好で安心、安全、のびのびとした人間らしいリアリティのある生活には隣人同士の助け合いが必要である、との認識も高まりつつある。地縁、血縁関係など人々を育むセーフティーネットの役割がなくなりつつある現代において、あらたな人間関係づくりが求められてる。
つまり、人間と環境のつながり、人間と人間とのつながりという二つの大きな「つながり」が今、必要なわけである。
そうした背景のもと、現在「コミュニティ」論が盛んである。エコロジカルな居住環境とともに隣人とのつながりを意識した集住形態を「エコビレッジ」と称し、その建設が世界中で行われている。また、地域において隣人同士で耕す菜園を「コミュニティガーデン」と呼んだりしている。菜園が地域の人々の接着剤となるツールの役目を果たし、それがきっかけとなって地域力が高まったり、生き生きとした町になったりしているのである。
その同じ文脈として「コミュニティカフェ」なる議論も昨今は盛んである。カフェの経緯をたどると、ヨーロッパで発達したカフェは本来サロン的な場所であり、人々が集い政治などの議論をにぎわした場でもあった。現在は単にコーヒーあるいはお茶を供するお店としての位置づけになっているが、コミュニティ論の活発化に伴い、再び「カフェ」という場が地域の人々の交流と情報交換の場、あるいは場合によっては相互扶助/互助の場として機能しないか、ということが模索されはじめたのである。
べトナムにおいては今ある隣人同士のつながりが、今後、産業/資本/金融本位の経済に移行していくに従って崩れて行くことは容易に想像できるが、それでも尚、人間同士のつながりは密ではないか。とするとカフェが果たす役割は「地域の接着剤」という役割よりはむしろ「地域の起爆剤」的な役割が大きいように思う。そこに小さな知恵をもった人々が集い、議論を交わし、反応/発酵し、小さいけれども新たな動きを起こしていく、そんな場として活用してもらいたい。
西部高原地帯で興っていることとU-Cafe
Kontum省にはソビエト式都市計画で開発された街区がある。コーヒー農園はゲートで囲われた敷地の中に家族ごとの家がある。学校もある。各戸に表札はない。整えられた集団農場である。生産性は高いようだ。ベトナム全土にチェーン店をもつ「ハイランドコーヒー」は主にここからの豆を使う。スターバックスは入っていない。「ハイランドコーヒー」の接客対応はレベルが高くU-Cafe の見本となる。
野菜村とU-Cafe
ホイアン郊外の水田地帯の一角に農園が広がリ、多くの香草が整然と植えられている。スーパーマーケットを通じてベトナム全土に出荷している。エコツーリズムの訪問先のひとつとなっている。ホイアンから、自転車、バイク、チクロで周遊し、香草摘み半日ツアーは人気が高い。U-Cafeはこのツアーの周遊先に既に登録されている。
土着とよそ者の融合U-Cafeが目指すメニュー
ホイアンは外国人を他人扱いしない。私たちのお気に入りの一つにスペイン人が現地の人と協同で開店したレストランがある。ベトナムオリジナル料理をすこしだけモディファイした絶妙の味を出す。スタッフの対応も垢抜けている。さりげなくバリアフリーのフロアになっている。ここはU-Cafeの見本のひとつ
U-Cafeのパンフレット